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山梨大学における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘い(第6報)

レポート 2020年5月20日 (水)  島田眞路(山梨大学学長)、荒神裕之(山梨大病院医療の質・安全管理部特任教授)

本稿のポイント 1.ジャパニーズミラクルという虚構 2.欧米よりも死亡者数が少ない理由 3.長期的な闘いへの方略 1.ジャパニーズミラクルという虚構 前回までの「PCRシリーズ」第3報から第5報までの報告 1-3)を通じて、OECD諸国の中でも最低レベルのPCR実施件数 4)が日本の国際的な信用を揺るがす事態に至っており、感染者数の把握を困難にした実情を明らかにした。実際に、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の副座長である尾身茂氏も国会答弁の中で、感染者数について「実は10倍か、15倍か、20倍かというのは、今の段階では誰も分からない 5)」と述べており、3月下旬まで、地方衛生研究所・保健所にPCR検査をほぼ独占させることを容認してきた日本の施策が招来した帰結は明らかである。 一方で、「ジャパニーズミラクル」という言葉で、この現状を高く賞賛する声も少なくない。代表的な例は、5月10日に放送されたNHKスペシャルの中で、WHOシニア・アドバイザーの進藤奈邦子氏が、「検査の遅れというのは、私たちは間違っていると思っていまして、日本の戦略的検査は高く評価している」とコメントしている 6)...