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医療崩壊を定義 - 「日常」を前提とした需給バランスの崩壊

オピニオン 2021年1月18日 (月)  中島恒夫(一般社団法人全国医師連盟代表理事)

新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、「医療崩壊」という言葉がメディアに登場することが増えてきました。しかし、巷にあふれる「医療崩壊」は、発言者各々の主観にすぎません。いわば、「言葉の独り歩き」です。「医療崩壊」の実態が曖昧模糊であるため、その響きが国民に不安をあおっています。 そこで、我々全国医師連盟が考える、「医療崩壊」の定義を述べます。 医療崩壊 = 「日常の提供体制」を前提とした医療需給バランスの崩壊 昨今、新型コロナウイルス感染症の入院待機患者が発生し、そして、その数が増加しています。この状態は「医療崩壊」ではありません。新型コロナウイルス感染症対策の不備にすぎません。「医療崩壊」とは、日常において、本来受けられる医療を提供できなくなる状態である、と我々は考えます。 我が国には、2種類の医療提供機関があります。「診療所」と「病院」です。 多くの診療所は、開業医が一人で診療を担当している「一人院長」体制です。院長の体調が不良であれば、「休診」となることは当然です。そして、多くの外来診療は出来高払い制度なので、診療した患者数に応じた収入しかありません。 報道で既にご存じの方も多...