「不幸な事態」を社会で支える仕組みが必要◆Vol.12
スペシャル企画
2008年11月14日 (金)
司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
「誰の責任でもない不幸な事態に対して、国民社会全体でシェアする考え方があっていいのでは」と語る、安福謙二氏。 ――“医療事故調”が真相究明に徹底した場合、患者さん側への対応、紛争解決はどうなりますか。 安福 患者さんの納得を得るための基本が真相究明です。その後の対応として、幾つかの選択肢があるでしょう。 真相究明の結果は、(1)「医療側に責任はない、賠償すべき責任はない」と断定できるケース、(2)「医療側に賠償責任がある」ケース、(3)過失の有無は微妙で、何とも言い切れないケース、に分けられると思います。 その時に、(1)と(3)について、「はい、一切賠償責任はしません」と対応するのが一つ。これは今までの法律の考え方です。「民事上の責任がないのだから、賠償責任もない」と。 もう一つは、過失の有無ではなく、事故の真相究明・再発防止の観点から、患者側への補償を行う考え方です。 例えば、「徹底的に事故を調査したら、人工心肺装置に問題が見付かりました。これは今回の事故で初めて明らかになったことです。今後の対策も分かりましたので、二度とこうした事故は起きないでしょう」というケース。この場合、これ...
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