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日本がワクチン開発に立ち遅れた訳 - 河岡義裕・東大医科研特任教授に聞く◆Vol.2

インタビュー 2021年4月17日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

【河岡義裕・東大医科研特任教授に聞く】 Vol.1◆「ネオウイルス学」発足の狙い Vol.2◆日本がワクチン開発に立ち遅れた訳 Vol.3◆残る課題は「コロナウイルス学」の追究(近日公開) ――日本での新型コロナウイルス感染症のワクチン開発の遅れは、基盤となる研究体制の構築が立ち遅れていたからだと。  mRNAワクチンが新たに登場しましたが、mRNAを作るために必要なRNAポリメラーゼの研究は、ワクチン開発とはもともとは全然関係ありません。mRNAをin vitroで合成する際、RNAポリメラーゼやプロモーターとして何を使うかなどは、全ては基礎研究の範疇です。  また、アデノウイルスの5型や26型をベクターとして使う技術は、エボラ、SARSやMERSなどのワクチン開発のために長年研究されてきました。欧米では、既に臨床試験をやっており、ウイルスベクターとしての安全性が確かめられています。新たな病原体が出てきた時には、その中身を入れ変えるだけなので、あれだけ早く開発が進んだわけです。  何年もかけて培われてきた技術や施設整備が必要で、そこへの投資...