なぜワクチンについては、副反応が過剰に問題視されたり、感情的に話題にされたりすることが多いのか？

近年、大きな話題となっている「ワクチン忌避」。HPVワクチンの接種率低迷は記憶に新しいところであり、最近では新型コロナウイルスワクチンへの不安や拒否をあおるような情報がメディアやSNSなどを通じて拡散し問題になっています。医療関係者の皆さまから見ると、ワクチンについて、通常の医療行為と比べて副反応が過剰に問題視されたり、感情的に話題にされやすいな？と不思議に感じられることも多いかもしれません。それは、なぜなのでしょうか？そして適切な理解を拡げるために、どのようなコミュニケーションが効果的なのでしょうか？さまざまな論点があり得るこのテーマについて、何回かシリーズで考えてみようと思います。第１回目の今回は、「損失回避」の考え方から見た、ワクチン忌避のメカニズムと対策についてです。突然ですが、次の２つの選択肢のどちらかを選ばなければならないとしたら、どちらを選びますか？ Ａ：何もしなくても100万円が手に入る。Ｂ：コインを投げて、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。 では、続いてもう一つ、同じように2つの選択肢のどちらを選ぶか考えてみてください。 Ａ：...