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院内事故調が生んだ“冤罪”、東京女子医大事件

レポート 2009年3月30日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

「無罪判決を言い渡した原判決は結論において正当である」 3月27日、東京女子医大事件の控訴審判決で、東京高裁はこう判断、医療事故で業務上過失致死罪に問われていた医師、佐藤一樹氏に無罪判決を言い渡した。 2005年11月30日の一審判決と同様に無罪だった控訴審判決の最大のポイントは、患者の死亡原因が一審判決と異なる点だ。 弁護人の二関辰郎氏は、「推測」と前置きした上で、一審と控訴審の判決の相違について、こう語った。「この事件の執刀医は証拠隠滅罪で有罪になっている。自分の犯罪の隠滅ではこの罪は成立せず、佐藤氏の業務上過失致死罪が成立することで有罪となる。この判決を出した裁判所自体が、『実は執刀医が悪かった』とは言えなかったという構図がある」。 控訴審判決後、記者会見する佐藤一樹医師(写真中央)と、主任弁護人の喜田村洋一氏(右)、弁護人の二関辰郎氏(左)。 控訴審では院内事故調査・一審とも異なる死因 東京女子医大事件とは、2001年3月、同大の日本心臓血圧研究所(心研、現在は心臓病センター)で当時12歳の患者が心房中隔欠損症と肺動脈狭窄症の治療目的で手術を受けたものの、脱血不良で脳障害を来し...