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「患者の命を危険にさらす」受け入れ断念に苦悩

オピニオン 2021年8月14日 (土)  志賀隆(国際医療福祉大学救急医学主任教授/同大学成田病院救急科部長)

 最近はメンタルヘルスを保つことが大事だと思って過ごしています。なぜなら、感染症病棟は常に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者さんへの対応で忙しく、加えて満床のため患者さんの入院受け入れを断らざるを得ないことが多いからです。 私は救急医なので人の命を救うこと、困っている人を助けることを大事に日々の仕事をしています。しかし、病棟の人やモノのキャパシティーを超えて患者さんを受け入れることはできません。私が主に働く千葉県でも連日1000人近くの新規感染者が報告されています。それに対して確保できている病床は1289床です。入院適応を厳密にしても入院できない中等症~重症の方の相談が毎日のように来ます。お断りすること、すなわちその方の命を危険にさらすことになるわけですから、とても悲しいところです。30~50歳代でも搬送時に低酸素血症 いわゆる第3波や第4波の頃までは、高齢の方が重症化することが非常に問題となりました。高齢の患者さんは重症化するだけでなく、介護度が高く、マスクなどをつけることができない方が多いため、ワクチン接種が進む前は職員への感染要因となっていました。 今は感染者数が大...