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ほぼ同等:「まぁまぁこのくらいでいいんじゃない?」

オピニオン 2021年10月10日 (日)  國頭英夫(日本赤十字社医療センター化学療法科)

 前回ご紹介したように、アメリカでは、新薬や新治療を評価する上で、「統計学的な有意差」よりも臨床的(に意味のある)benefit、そしてそれに毒性やコストを加味した”Value”を重視する動きが強まり、2017年にvalue in cancer care consortium(vi3c)という研究団体が創設されました。これにはむろん、2010年以降に出てくるOncologyの新薬が当たり前のように1月1万ドルを超えるようになったという、コストの高騰が大きく関与しています。アメリカでは個人がその影響を直接受けてしまうのです。 公的医療保険が日本に比べて完全ではないアメリカでは、そうした新薬を含む「最良の治療」を受けようと思うと、自分で民間の保険に加入しないといけません。しかし加入者が大病をした時に支払う保険金がバカ高くなると、保険会社も商売ですから、保険料を高く設定しないとやっていけません。その結果、2015年時点で、家族特約の保険料と医療費の自己負担が、アメリカの平均的な家計収入の約半分になると報告されました。このペースだと、2028年にはその割合が100%になるそうです。つまり、アメ...