第二波に備え、検疫法の抜本的改正が不可欠◆Vol.25
スペシャル企画
2009年6月24日 (水)
中田はる佳(東京大学医科学研究所東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門 研究員)
1.はじめに 新型インフルエンザの感染が全世界的に広がっている。メキシコで3月11日に新型インフルエンザの最初の感染が確認(メキシコ保健省発表)されて以降、日本国内での最初の発症は5月5日(厚生労働省発表)。6月23日11時現在、国内感染者は892人である(厚生労働省確認分)。 わが国における新型インフルエンザ対策は2009年2月の「新型インフルエンザ対策行動計画」に基づいて行われ、当初から水際対策に重点が置かれてきた。成田空港、関西空港、中部空港では定数の検疫官(医師、看護師、その他で合計153人)に加えて、自衛隊や大学病院等にも応援を要請して体制を強化した。1日当たりの応援人員は三空港合計で最大212人に及んだ(5月10日厚生労働省報道発表資料)。このように水際対策に注力する一方で国内体制の整備は遅れが目立ち、国内初発例である神戸市の高校における集団発生を早期に検知することができなかった。検疫偏重体制に関しては現役検疫官から「空港での検疫は政治的パフォーマンスではないか」と痛烈な批判がなされたり(5月28日参議院予算委員会)、舛添要一・厚生労働大臣も水際対策に目が向いていたことを反...
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