医師の訴訟リスクはワクチン接種が法定か非法定かで相違なし◆Vol.38
スペシャル企画
2009年10月1日 (木)
井上清成(弁護士)
私は9月24、25日の両日、新型インフルエンザのワクチン接種をめぐる問題で、厚生労働省の会議に出席した。新型インフルエンザのワクチン接種を予防接種法に基づく法定接種にするか、同法に基づかない非法定接種(注:一般的には「任意接種」という言葉が使われているが、正確には「非法定接種」が正しいので、以下、「非法定接種」を使用)にするかなどについて、弁護士の立場から意見を述べることが目的だ。厚労省側からは、長妻昭・厚労大臣をはじめ政務三役、厚労省の官僚などが参加した。 予防接種法に位置付けて法定接種とするには、メリット、デメリットがあるが、総合的に考え、私が法定接種にすべきだと主張した。だが、結局は、(1)非法定接種、(2)ワクチン接種に伴う副反応に対する救済は特別の立法措置で対応、という基本路線は変わらなかった。かなり行政当局と議論を重ねたが、前進したのは、救済の補償額が行政サイドの当初の想定よりも、引き上げられた程度だ。国の事業として行い、ワクチンの優先接種対象者を国が決め、事実上、接 種勧奨しているにもかかわらず、国は責任と補償を回避している。 以下、法定接種と非法定接種の相違、メリット・...
m3.comは、医療従事者のみ利用可能な医療専門サイトです。会員登録は無料です。