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混合診療裁判で“法の不備”が露呈 - 弁護士・井上清成氏に聞く

インタビュー 2009年10月19日 (月)  聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)

いわゆる混合診療の場合でも、「保険受給権」があることを争った裁判で9月29日、東京高裁は、原告である腎臓がん患者である清郷伸人氏の請求を棄却する判決を下した(「なぜ判決が覆ったのか、混合診療裁判は最高裁へ」を参照)。一審では、清郷氏の請求を認めていた。清郷氏は判決を不服とし、上告受理申立をしている。 では、なぜ二つの判決の結論は異なったのか。法解釈が中心となった両判決の内容や医療界への影響などについて、弁護士の井上清成氏に聞いた(2009年10月10日にインタビュー)。 井上清成氏 1981年東京大学法学部卒。86年弁護士登録(東京弁護士会所属)。89年 井上法律事務所開設、2004年医療法務弁護士グループ代表。 ―― 一審と控訴審の判決では、LAK療法(活性化自己リンパ球移入療法)には触れず、法律解釈に終始しており、異なる結論が導かれています。 まず申し上げたいのですが、医療と同様に、法律はそもそも不確実なものです。法の制定過程を見ても分かるように、技術的、また実態的に、法が曖昧になるのはやむを得ません。 ――「技術的、実態的に曖昧」とはどのような意味ですか。 例えば、「混合診療を禁...