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【フランス便り】日本とフランスにおける高額療養費制度の比較 

オピニオン 2025年4月20日 (日)  奥田七峰子(日本医師会総合政策研究機構フランス駐在研究員)

近年、医療技術の進歩により、従来では治療が難しかった重篤な疾患に対しても、革新的な治療法や薬剤が次々と登場しています。中でも、CAR-T細胞療法やロボット支援手術(ダビンチ手術)、抗C型肝炎薬のような高額薬剤は、劇的な治療効果を示す一方で、医療費の高騰を引き起こし、フランスの公的医療制度に大きな影響を与えています。今号では、日本とフランスにおける高額医療費に対する制度の比較と患者負担の違いを中心に、代表的な3つの治療法を比較します。 骨子を端的にまとめるとすれば、フランスは「医療は公共の権利」としての理念・哲学が強く、高額先端医療も必要であれば「自己負担ゼロ」で提供する方向性にあります。その代わり、導入には厳しい評価(HAS: Haut Authorite de Sante)と予算監視が行われ、治療実施を認可された病院への払い戻しは治療実績・適応範囲ごとにコントロールされます。...