過労自殺裁判で和解したわけ、遺族・弁護士が語る
レポート
2010年10月18日 (月)
橋本佳子(m3.com編集長)
「高裁判決で、『(使用者である病院側には、小児科医が過労自殺するという)予見可能性がなかった』とされていたことが、一番ひっかかっていた。これでは、労災が認められても、使用者側には責任がないことになり、他の過労死裁判に迷惑をかけることになると思っていた。既にこの高裁判決が、数件の過労死裁判で使われていると聞いた。 玉砕覚悟でも、最後までできる限りのことをしたかったので、上告受理申立した。だから、最高裁からの和解勧告を聞いた時には前向きではなかった。しかし、この高裁判決を自由に使えなくなるのであれば、和解を考えてもいいと思った」 10月16日に開催された「小児科医師中原利郎先生の過労死認定を支援する会」の最終総会・シンポジウムで、中原のり子氏は2010年7月に最高裁の和解勧告に応じた理由をこう説明した(『最高裁が医師不足や医師の過重労働に警鐘』を参照)。同会は1999年過労自殺した小児科医・中原利郎氏の労災認定をめぐる行政訴訟、病院に損害賠償を求めた民事訴訟を支援する会。行政訴訟では労災認定されたが、民事訴訟では一審、二審ともに原告敗訴していた(『「医師の過重労働の放置につながる判決」、小...
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