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現地リポート、震災から3カ月の石巻の今◆Vol.1

スペシャル企画 2011年6月13日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

「入院患者さんや避難者などを搬送した後、我々職員が病院から脱出できたのは、震災から5日目のことだった」。3月11日、東日本大震災で津波の被害を受けた当時の様子を、鮮明に思い出しながら語るのは、石巻市立病院院長の伊勢秀雄氏だ。同院は津波により1階部分が完全に浸水、診療不能になった。その後、4月7日から仮診療所で外来診療のみを再開したが、病院再建のメドは立っていない。 被災当日およびその後の状況、さらには再建に向けた考えなどを、伊勢氏にお聞きした(2011年6月10日にインタビュー。計2回の連載)。 伊勢秀雄氏は、「幸い、山形市の病院と医療データを相互に保存するシステムを構築していたため、患者情報の回復が可能だった」と語る。 ――最初に3月11日のことをお聞きしたいのですが、先生は地震発生時、どちらにいらっしゃったのでしょうか。 私は、石巻市役所の6階で、当院の事務部門4人と、市の保健福祉委員会に出席していました。地震で会議室の天井が落ちて来たのですが、土煙の中を飛び出し、車で病院に向かいました。まだ津波が来ていませんでしたが、とにかく尋常な事態ではないと思いながら。 ――市役所から病院ま...