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「医療の萎縮を招く」、抗がん剤の副作用被害救済への懸念

レポート 2011年9月7日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

厚生労働省の「抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会」(座長:森島昭夫・名古屋大学名誉教授)の第2回会議が9月6日開催され、抗がん剤を医薬品副作用被害救済制度の対象とすることについて、「慎重な対応を取るべき」という意見のほか、総論的には同制度への抗がん剤の追加を支持しても制度設計の難しさを指摘する声が相次いだ(資料は、厚労省のホームページに掲載)。 座長の森島昭夫・名古屋大学名誉教授は、現行の医薬品副作用被害救済制度の前身の制度創設時の検討会の座長も務めた。 一橋大学大学院経済学研究科教授の斉藤誠氏は、「将来に禍根を残さないためにも、慎重な対応を取るべき」とコメント。その理由として、(1)抗がん剤は、予想されるリスクに対して期待されるベネフィットが決して高くはない例もあるため、それを受け入れ、“人生における挑戦”と考えた患者が重篤な副作用を被った場合、患者が失った利益を客観的に判断するのは難しい、(2)被害救済をする場合に厳格な要件が定められると想定されるため、進行がんなどの治療において、現場が柔軟な対応を取る妨げになったり、萎縮医療が生じる懸念があり、医療の健全な発展とコンフリ...