指導・監査・処分の「3つの不幸」◆Vol.1
オピニオン
2012年4月5日 (木)
石川善一(弁護士)
はじめに 保険診療をした後の法律関係(権利・義務関係)には、大きく分けて、2つの局面がある。保険医療機関からの診療報酬請求の局面と、保険医・保険医療機関に対する指導・監査・処分の局面である。 前者の法律関係を定めているのは、健康保険法および厚生労働省告示(「診療報酬の算定方法」)であり、その告示の別表(点数表)は、詳細に定められ、かつ2年ごとに改定されている。このことは、医療関係者が広く知るところである。 他方で、後者の法律関係を定めているのは、健康保険法および厚生労働省令(「保険医療機関及び保険医療養担当規則」)であるが、指導・監査・処分に関する同法令の根本的構造は、1942年の同法改正以来(すなわち大日本帝国憲法下から)、変わっていない。 本稿では、後者の法律関係の問題の深刻さを医療関係者に広く知っていただくために、まず、指導・監査・処分における「3つの不幸」、すなわち保険医の自死、保険医・指導監査官等の贈収賄、保険医等に対する違法処分について、振り返りたい。そして、「みぞべこどもクリニック」の溝部達子医師に対する保険医療機関指定取消処分および保険医登録取消処分に関する行政訴訟の代...
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