厚生労働白書、「恣意的に調査結果を利用」
レポート
2012年9月5日 (水)
橋本佳子(m3.com編集長)
日本医師会は9月5日の定例記者会見で、厚生労働省の「社会保障に関する国民意識調査」の結果、および同調査を引用した8月28日公表の厚生労働白書に対し、「問題点がある」との見解を発表した(資料は、日医のホームページに掲載)。 白書では、「所得の高い人は、所得の低い人よりも、医療費を多く払って、よりよい医療を受けられる」との考えを正しいとする国民が49.6%に上り、先進諸国よりも多いとしている。日医が問題視したのはこの点だ。会見した日医の石川広己常任理事は、この基となった国民意識調査の分析方法に問題があるとした上で、「公的医療保険の給付の範囲縮小に向けて、調査結果が恣意的に活用されたものと考えざるを得ない」と指摘した。その背景には、今国会で成立した社会保障制度改革推進法や、7月に閣議決定された日本再生戦略などがあると見ている。 石川常任理事は、国民意識調査の問題として、(1)医療について直接的に質問した項目はほとんどないが、白書では「国民が所得の違いによって医療に格差が生じることを容認している」という結果を強調、(2)インターネットを利用した調査であり、調査対象に偏りがあると想定され、国民を...
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