検察側、弁護側の主張は最後まで平行線のまま◆Vol.14
レポート
2008年8月18日 (月)
橋本佳子(m3.com編集長)
「昨年1月の初公判における冒頭陳述をもう一回聞いたようなもの」。 今年3月の論告求刑時、計14回の公判を継続して傍聴していた、ある医師が思わずこうもらした(第13回公判「検察の求刑は禁固1年、罰金10万円」を参照)。 検察側、加藤医師・弁護側、遺族の、それぞれの主張や事件への思いなどは、最後まで変わらなかった――。これが、2007年1月以降、計14回に及んだ、福島県立大野病院事件の公判を傍聴した感想だ。 死亡した女性は、帝王切開手術の既往がある前置胎盤の女性で、2004年12月17日、帝王切開手術時に出血を来し、死亡した。被告の加藤克彦医師は、業務上過失致死罪と医師法21条違反に問われている。 検察は初公判時、業務上過失致死罪については、(1)帝王切開手術前の検査時、遅くても胎盤と子宮を用手的に剥離する際に、癒着胎盤であることを認識し、大量出血の危険を予見できた、(2)用手的剥離が困難になった時点で剥離を中止して、子宮摘出術に切り替える義務があったが、それを怠り、大量出血を招いた、(3)死因は出血死であり、加藤医師の行為との因果関係がある――などと主張した。また、医師法21条違反につい...
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