「無罪」と最終弁論で弁護側が改めて主張◆Vol.11
レポート
2008年5月19日 (月)
橋本佳子(m3.com編集長)
公判は毎回、福島地裁の第一法廷で開催される。この日は27の一般傍聴席を求めて162人並んだ。 5月16日、福島地裁で福島県立大野病院事件の最終弁論が行われた。その冒頭、弁護側は「業務上過失致死罪および医師法違反の罪のいずれについても無罪である」と、改めて主張した(検察の論告求刑は、「検察の求刑は禁固1年、罰金10万円」、 「被告は医師の社会的信頼を低下させた」を参照)。 弁護側は、今回の事件は、薬の種類や量を間違えたり、誤って臓器を切るなどの明白な医療過誤事件とは異なるとし、「帝王切開手術で患者が死亡」という結果の重大性のみに依拠して責任を追及することを疑問視した。その上で、癒着胎盤についての産科医としての通常の医療行為と医師の裁量そのものが問題視されている事案であり、検察が医学的見地から過失の存否を立証する責任を負うが、明確な主張をせず、十分な立証もできなかったとした。 本裁判はこの日で結審し、2008年8月20日午前10時から、判決が言い渡されることになった。 公判の最後に、加藤克彦医師は、「(死亡した女性に対して)ご冥福をお祈りします」と述べ、次のように語った(詳細は文末に掲載)...
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