1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 証人の説得力と検察官の稚拙さ ◆Vol.5

証人の説得力と検察官の稚拙さ ◆Vol.5

レポート 2007年12月3日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

大野病院事件の公判は月1回のペースで、福島地方裁判所で開催される。 第10回公判が開かれた11月30日、福島は初冬にしてはやや暖かい日和だった。公判開始は通常より30分早い午前9時30分なので、私は6時台の新幹線に乗って福島に向かった。 27人分の一般傍聴券を求めて並んだのは54人。周産期医療では高名な教授への証人尋問だったにもかかわらず、これまでの公判の中で最も抽選倍率は低かった(「公判では検察側に不利な証言続く」参照)。先月の第9回も周産期医療の専門家への証人尋問が行われ、公判の行方がある程度予想されたためか、それともいつもより早い開始時間で間に合わなかったのか――、定かではない。 じっと発言者を見つめる裁判長 開廷は午前9時30分。5分前に法廷に入ると、既に検察側、弁護側ともに全員が席に着いていた。両者それぞれ8人という体制だ。傍聴席は、一般傍聴席のほか、関係者や報道席も含めて計48席。 9時30分ちょうどに、裁判長をはじめ3人の裁判官が入廷、全員起立して一礼、着席する。報道機関による2分間の撮影後、被告の加藤医師が入廷する。加藤医師はいつもスーツ姿。着席前に、裁判官に一礼、傍聴...