起訴根拠を周産期医療の専門家が否定◆Vol.4
レポート
2007年12月3日 (月)
橋本佳子(m3.com編集長)
「証拠の優劣から言えば、弁護側に有利」と公判後に記者会見する主任弁護人の平岩敬一氏。 検察官:「(加藤医師の施術について)他にやるべきことがあったのでしょうか」 証人:「ありません。私も同じことを実施したと思います」 検察官:「業務上過失致死罪で起訴されたことについて、どう思いますか」 証人:「個人的には、産科医療が生物学的に特殊であることを十分に理解されていない状態で、物事が動いていると思います。自分としては心穏やかでありません」 11月30日に開かれた福島県立大野病院事件の第10回公判で、証人尋問に立った医師は検察官の問いにこう答え、本事件の被告である加藤克彦医師の帝王切開手術が妥当であったと証言した(事件の概要は、「公判では検察側に不利な証言続く」参照)。 ここで言う「特殊な医療」とは、分娩は時に予期しない大量出血を来すなど、他科とは異なる危険性を伴うことを指す。そのほか弁護側の主尋問では、術前の検査のあり方や、胎盤剥離を完遂したことなどについて、検察の起訴事実を否定する証言が相次いだ。一方、検察側は、それを覆す反対尋問ができず、苦しい展開となった。 「術前の診断、手術時の対応と...
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