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「公共事業のムダを省け」では埒が明かず◆Vol.3

レポート 2008年6月20日 (金)  司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

「公共事業のムダを削れ」「埋蔵金を医療費」などと、他の分野の歳出を削減し、医療費に充てる議論は、やめた方がいい――。慶應大・権丈善一氏はこう指摘する。虎の門病院・小松秀樹氏もこの意見を支持する。ムダがあるのならば、そのムダは徹底的に削りながら、医療費を増やすことは可能だからだ。「いったいどのくらい医療費が必要か」、その試算のための「見積書」が不可欠だという。小松氏と権丈氏の対談の第3回をお届けする。 権丈善一氏 ――日本では医療に関する満足度は高くはないのに、負担感は強い。それは正しく情報が伝わっていないことが理由ということです。 小松 費用負担について、大学教育にどうしても触れたい。日本では、大学教育のための費用は低く、OECD28カ国中24番目です。しかもその内訳がいびつです。多くの国で公費負担が大半を占めますが、日本は私費が半分以上です。 権丈 私費の負担、つまり親のがんばりで、なんとかこれまである程度の水準を維持してきましたが、それも既に限界に達し、今は教育に歴然とした格差がでてきています。私は、教育は既に混合診療化していると言っているわけです。 小松 このため、親が貧しいと大...