刑事手続との関連では“事故調”に疑問符◆Vol.3
レポート
2008年5月14日 (水)
司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
医療者の間には、どんな医療事故に業務上過失致死傷罪を適用するかという点に加えて、医療に精通していない警察が、医療事故を捜査する実態を疑問視する声も多い。厚労省が検討している医療安全調査委員会で、この問題は解決し得るという期待があるが、河上氏と金田氏ともにこの点については否定的だ。両氏とも、「民事・行政・刑事処分のあり方も含めた医療のグランドデザイン」を描く必要性を指摘している。 河上和雄氏 ――厚労省の第三次試案では、「刑事手続については、委員会の専門的な判断を尊重し、医療安全調査委員会からの通知の有無や行政処分の実施状況等を踏まえつつ、対応することになる」などとしています。 河上 われわれから見れば、厚労省は自分の権限に及ばない部分について、いかにも権限があるように書いており、読む人を惑わしています。 金田 確かに第三次試案は、自分たちの権限がないところまで踏み込んでおり、警察の捜査権を縛ろうという意図が背後に見え隠れします。ところで、刑事処分の目的は応報刑と教育刑の両方があります。現状では、処罰という観点と再発防止という二つの目的を分けずに議論されている気もしますが、その点はいかが...
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