刑事責任から切り離した真相究明が不可欠◆Vol.9
スペシャル企画
2008年11月5日 (水)
司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
佐藤 法律が変わらない限り、“医療事故調”を作っても、警察に訴えることは可能なわけですから、今回と同様の事件は起こり得ます。今回は「癒着胎盤」という稀なケースであるが故に、無罪になったという考え方も成り立つ。 では稀ではないケースで過失が問われたときにどう判断するのか。じゃあ、もう一度やってみようとなりかねない。今は世間の情勢を見て黙っているでしょうが、検察は今回の事件でメンツがつぶされた格好になっています。しかし、今後は分からない。 ――刑法211条の改正が必要だということですか。 佐藤 刑法211条を改正して、業務上過失致死罪の適用は「医学的根拠のない行為による医療事故」に限定することです。手術する際、左右を間違えたりするのは医学的根拠がないわけです。しかし、あ る手術の際、「こうした方法もあるが、それ以外の方法もある」など、医学的根拠がある行為について、その選択の判断を問うような刑事訴追はすべきではありません。今、“医療事故調”が議論されていますが、どんな形態にしても、刑事免責、つまり業務上過失致死罪と切り離さないと、事故調査を実施しても、報告書には何も書けないか、書いても本当の...
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