医学的準則に基づく業務上過失致死罪の判断は危険◆Vol.7
スペシャル企画
2008年10月29日 (水)
司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
「今回の判決は、見方を変えれば、一般の医師がやっていない医療行為をやり、その結果が悪かったら、それだけで過失を問われかねないことになる」と懸念する、安福謙二氏。 ――では、何が「医学的準則」であるかが明確に言えない場合、裁判官はどう判断したのでしょうか。 安福 「医学的準則」を用いた判断は、一見明快で、格好良く見えますが、実は危ないことを言っています。先ほども言ったように、たまたま今回は産婦人科医のほぼ全員が支持する「医学的準則」があったから、裁判官は乗れたんですよ。 ――判決では「刑事罰を科すべき医学的準則」とは、「その場面に直面した際、ほとんどの者がその基準に従った医療措置を講じているといえる程度の一般性・通有性があるもの」としています。 安福 見方を変えれば、一般の医師がやっていない医療行為をやり、その結果が悪かったら、それだけで過失を問われかねないという話になります。 さらに言えば、「医学的準則」が定まっていない場合はどうでしょう。医療現場で「9割、10割の人がやっている」という医療行為がどの程度あるのでしょうか。また、医学は日進月歩、日々刻々と動く。また動いてこそ医療です。か...
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