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「そもそも起訴すべき事案ではなかった」- “割りばし事件”弁護人・奥田保氏に聞く◆Vol.1

インタビュー 2008年12月10日 (水)  聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)

杏林大学で1999年発生した“割りばし事件”の刑事裁判の東京高裁判決が11月20日にあり、検察は上告せず、担当医の無罪が確定した。1999年の事故から9年。警察の捜査が始まった段階から、担当医の弁護を担当したのは奥田保氏。検察官、裁判官を経て弁護士になった経歴を持つ立場も踏まえ、奥田氏にこれまでの経緯や本判決の持つ意味などを聞いた(インタビューは高裁判決が確定する直前の2008年12月4日に実施。3回に分けて連載予定)。 奥田保氏 1961年司法試験合格、62年早稲田大学第一法学部卒業。 高松地検や神戸地検などの検事を経て、71年から裁判官に。大阪地裁や東京高裁の判事を経て、92年に弁護士登録、奥田総合法律事務所開設。 ――まず高裁判決について、今の感想をお聞かせください(判決の概要などは『“割りばし事件”、高裁判決でも医師無罪』を参照)。 私は地元警察が捜査を開始した段階から、今回被告となった担当医の弁護を担当していましたが、起訴自体に無理があったと思っています。 東京高裁判決でも、「本件は特異な例である」と言っていますが、捜査開始時点で、私は「レアなケースであるにもかかわらず、医師...