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「とにかく医学部定員を増やせ」という話には乗れず-東大医学部長・清水孝雄氏に聞く

インタビュー 2008年8月7日 (木)  聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)

政府は従来の方針を180度転換し、6月末に「医学部定員増」を決定、文部科学省は8月5日に定員増に関して各大学に通知した。ところが、「文科省の通知を見て、落胆した。110~120人程度の増員を予定していたが、再検討を余儀なくされた」と、東大医学部長の清水孝雄氏は問題視する。それはなぜか――。2004年度の国立大学の法人化以降、大学運営は厳しく、「教育、研究、臨床の質を落としてはいけない。現状では定員を増やす余裕はあまりない」と語る清水氏に話を聞いた(2008年8月6日にインタビュー)。 「予算的な担保がない中で、医学部定員は増やせない」と語る東大医学部長の清水孝雄氏。 ――まず一連の医師養成数をめぐる議論についてどうお考えになっているのか、お聞かせください。 私は、医学部の定員増を認めたのは、非常に大きいことだと思っています。「当面、過去最大数まで増やす」という方針を打ち出したのは、貴重な一歩でしょう。それでも、わが国の人口当たりの医師数はOECD諸国に比べてまだまだ少ないですが。 もっとも、この「一歩」に非常に期待したのですが、文科省の8月5日の通知を見て非常に落胆し、予定の大幅な変更...