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元社員、ノバ社の無罪が確定へ、ディオバン事件

レポート 2021年6月30日 (水)  高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤(一般名バルサルタン、商品名ディオバン)を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件の上告審で最高裁判所第一小法廷(山口厚裁判長)は6月28日付で東京高検の上告を棄却した。薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員と、両罰規定に伴うノバ社の無罪が確定した。第一小法廷の裁判官5人が同意見だった。東京地検特捜部が手がけた事件が全面無罪となる異例の展開となった。裁判長は論文の記載を薬事法違反の対象とすることについて「憲法が保障する学問の自由との関係で問題を生じさせることになる」と指摘した。 2017年3月の東京地裁判決では「論文作成においてイベントの水増し、恣意的な群分け、データの改ざんがあったが、学術論文を作成、投稿することは薬事法の規制対象には当たらず、罪に当たらない」、2018年11月の東京高裁判決では「医薬品の誇大広告を規制する薬事法66条1項は、そもそも学術論文作成を対象にしていない。薬事法で規制することは自由闊達な研究の発展を阻害する可能性もある」として、共に無罪を言い渡していた(一審判決は『元社員、ノバ社とも...