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増大する医療費「我々はみなタイタニック号に乗っている」-國頭英夫・日本赤十字社医療センター化学療法科部長に聞く◆Vol.2

インタビュー 2021年9月5日 (日)  聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)、橋本佳子(m3.com編集長)

効果を落とさずに「薬」を減らす研究をサポート◆Vol.1――「オプジーボ」では当初の100mg約73万円から、6回の改定で約15万5000円に引き下げられました。高額薬剤を巡る状況はどのように感じていますか。 あの時は、自分で電卓を叩いて、「年間1兆7500億円」なんてとんでもない数字が出たので、こっちが驚いてしまったのですね。行く手に氷山を見つけたタイタニックの乗員みたいな感じで、「危ない、このままだと国家財政・保険財政が持たない」と思わず声を上げて叫んだ、というようなところでしょうか。 オプジーボの薬価は下がりましたが、PD-1/PD-L1阻害剤の適応はどんどん広がり、化学療法や血管新生阻害剤、さらにはCTLA4阻害剤など他の免疫療法剤との併用が主体となり、全体としてのコストは膨らむ一方です。医療界では、こういう話をすると「医療費については国が考えるべきことで、医者が考えることではない」と嫌な顔をされます。「患者にベストを尽くすという我々のやってきたことが間違っているとでも言うのか」と詰め寄られたこともありますが、私は「間違っている」と答えました。我々はコストを考えなさすぎでした。...