ワクチン接種、どう勧めると良い?「インセンティブ」の使い方
オピニオン
2021年9月11日 (土)
市川衛(医療の翻訳家)
この2カ月、ワクチン忌避が起きるメカニズムやそれを解消する手段について、コミュニケーションの視点で考えてきました。『なぜワクチンについては、副反応が過剰に問題視されたり、感情的に話題にされたりすることが多いのか?』、『「データ」?「感情」?RCTの結果から考える「ワクチン接種を促すメッセージ」とは』 3回目の今回は、「じゃあ、どうすればいいの?」という疑問にお答えすることを目的に、予防接種はもちろん医療現場で使えるコミュニケーションのテクニックがテーマ。さまざまなテクニックの中でも「インセンティブ」を活用する方法についてお伝えします。
インセンティブにはさまざまな種類がある
「インセンティブ」と聞いたとき、どのようなものをイメージされるでしょうか。一般的にインセンティブは「報酬」と訳されます。そのため、金銭的やショッピングに使えるポイントなどをイメージされるケースが多いようです。例えばメタボ対策に、「運動するとマイルがたまり商店街で使えます」みたいな取り組みが行われることがありますよね。
しかし報酬は、そうした直接的な利得に限らず、さまざまな種類があります。
経済学者の...
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