原告・被告ともに控訴、奈良・時間外手当等請求裁判
レポート
2009年5月8日 (金)
橋本佳子(m3.com編集長)
奈良県立奈良病院の産婦人科医2人が、未払いだった「時間外・休日労働に対する割増賃金」(以下、時間外手当)の支給を求めた4月22日の奈良地裁の一審判決に対し、被告である県は5月1日に、原告は5月2日にそれぞれ控訴した。 判決では、「宿日直勤務は、実際に診療に従事した時間だけではなく、待機時間を含めてすべて勤務時間」であると判断、A医師に736万8598円、B医師に802万8137円の支払うよう、奈良県に命じた(判決の詳細は、『「宿直」扱いは違法、奈良地裁が時間外手当支払い求める』を参照)。ただし、宅直(オンコール)については、「病院の指揮命令系統下に置かれているとは認められない」とされ、手当の支払い対象にはならないとされた。 原告は割増賃金の基礎額拡大とオンコール手当を請求 原告の控訴理由は主に二つ。(1)時間外手当の割増賃金の計算に当たって、その算定基礎額の対象をより広く取るべき、(2)オンコールに対しても、手当てを支払うべき、という点だ。(1)について、奈良地裁判決では、「給与、調整手当、初任給調整手当、月額特殊勤務手当」を算定基礎額としたが、「期末手当、勤勉手当、住居手当」も加える...
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