糖尿病網膜症の治療を大きく変えたのが、2014年から糖尿病黄斑浮腫への適応が承認された抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬だ。VEGFは、糖尿病網膜症を含むさまざまな疾患で病的な血管新生を促す因子。血管透過性を亢進させ、漏出液が網膜内に貯留すると黄斑浮腫となる。黄斑浮腫は糖尿病網膜症による視力障害の最も多い原因である。抗VEGF薬の硝子体内注射が血管透過性を抑制して視力障害を防ぐことが複数のランダム化比較試験で示されている。これまでに、国内では2品目の抗VEGF薬が保険適用を取得。最近では、浮腫の軽...