日本の心臓移植、世界一の理由【平成の医療史30年◆循環器編】
「もう、移植医が前に出なあかん」
――臓器移植法成立後、初の心臓移植が行われた1999年には3件、その後3年の移植件数は3件、6件、5件と少しずつではあるが、増えていくように見えた。しかし、2003年の移植件数はゼロとなった。
2003年当時、日本移植学会の一部の先生からは反対もあったが、松田暉先生(現・大阪大学名誉教授)をはじめ、僕らは「もう移植医が前に出なあかん」との考えだった。「助ける集団が表に出ないでどうするんや」ということで、そのときに日本移植者協議会の大久保(通方)さんや、いろいろな患者団体と一緒に、「どうやって臓器移植法の改正を進めようか」ということの準備を始めた。11月には東京女子医科大学の小柳仁先生(現・同大学名誉教授)が、日本移植学会と重症臓器不全、さらには臓器提供の診療を担う各学会による臓器移植関連学会協議会を設立した。
法改正に関する活動は、話すとものすごく長くなるので一部を省略するが、「2003年から2009年の7月17日までかかった」と言えば、その道のりの長さはお分かりいただけると思う。その間、僕は外科医の活動は捨てて、国会に通った。
僕...
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