「もう、移植医が前に出なあかん」――臓器移植法成立後、初の心臓移植が行われた1999年には3件、その後3年の移植件数は3件、6件、5件と少しずつではあるが、増えていくように見えた。しかし、2003年の移植件数はゼロとなった。2003年当時、日本移植学会の一部の先生からは反対もあったが、松田暉先生(現・大阪大学名誉教授)をはじめ、僕らは「もう移植医が前に出なあかん」との考えだった。「助ける集団が表に出ないでどうするんや」ということで、そのときに日本移植者協議会の大久保(通方)さんや、いろいろな患者...