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排尿誘導や減薬の社会実装が進んだ30年【平成の医療史30年◆認知症編】

2019年1月22日  平成の医療史30年

 「かつて、私たちは認知症を何も分からなくなる病気と考え、徘徊や大声を出すなどの症状だけに目を向け、認知症の人の訴えを理解しようとするどころか、多くの場合、認知症の人を疎んじたり、拘束したりするなど、不当な扱いをしてきた」  ――これは平成も後半に差しかかった2012年(平成24年)に厚生労働省認知症施策プロジェクトチームがまとめた報告書「今後の認知症施策の方向性について」の前段に掲げられた文章の一部だ。老年医学の専門家として長年、高齢者医療の問題に取り組んできた国立長寿医療研究センター理事長の鳥羽研二氏に、認知症に関する30年を振り返ってもらった。30年前の生理学を端緒とした多岐にわたる研究の経験が、認知症高齢者の排尿誘導や薬物有害事象の問題、高齢者総合機能評価(CGA)などの「社会実装」にかなり役立ったと話す。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・坂口恵/全3回掲載) 「以前研究したこと」が必ず生かせている ――1989年(平成元年)、鳥羽氏は米テネシー大学生理学教室のLeonard Share教授のもとに留学中。まだ昭和64年だった1月7日に昭和天皇崩御...