難聴激増も超高齢社会でさらに加速か【平成の医療史30年◆耳鼻咽喉科編】
聴覚や嗅覚、味覚などの感覚器は、ちょっとした変化でもQOLが大きく左右されるため、老化が健康に与えるリスクは小さくない。日本は平成の間に65歳以上の人口割合が21%を超え、耳鼻咽喉科はこの「超高齢社会」において重要な鍵を握る診療科の一つと言えよう。難聴患者が激増する一方で、老化以外の要因でアレルギー性鼻炎(AR)も患者数が増え続けた。平成の30余年が耳鼻咽喉科にもたらした変化を振り返る。(m3.com編集部・森圭吾)
2倍近くに膨らんだ難聴患者数
厚生労働省がまとめた平成26年患者調査(疾病分類編)によると、昭和から平成の変わり目に当たる1987年(昭和62年)-90年(平成2年)には6万人前後だった難聴患者の数が、96年(同8年)には8万人を超え、2011年(同23年)には11万8000人と、およそ2倍に膨らんだ。14年(同26年)は減少したものの、依然として治療を必要とする患者は10万人を超えており、高齢化によってさらなる増加が見込まれている(図1)。
図1. 難聴の総患者数、平成30年間の推移
(厚労省「患者調査」より作成)
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