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耳鳴治療に新風を吹き込んだ音響療法【平成の医療史30年◆耳鼻咽喉科編】

2019年1月28日  平成の医療史30年

音響療法が提唱された当時を振り返る小川氏  一時代の区切りが迫る中で、医療に関する話題を振り返る「平成の医療史30年」。耳鼻咽喉科領域では、慶應義塾大学教授の小川郁氏に語ってもらった。小川氏がまず、大きなトピックとして挙げたのは、「全く新しい考えを吹き込んだ」と評する「音響療法」。平成の世にどのようなインパクトが生じたのか、真意を聞いた。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・森圭吾/2018年11月27日取材、全2回連載) 治療の主眼が末梢説から中枢説へ ――耳科学・聴覚医学領域で、平成の間に先生が最も変化を感じた出来事を教えてください。  私は、耳鳴や突発性難聴など感音性難聴などの研究や治療の開発に携ってきました。その立場から言うと、個人的には耳鳴の治療を取り巻く環境が大きく変わったと実感します。昭和の頃は、耳鳴とは内耳の異常、いわば「壊れた内耳」から生じている音だと考えられ、治療に対するアプローチも内耳に主眼を置いたものでした。  ところが1991年(平成3年)に、Jastreboffが提唱した音響療法とカウンセリングを組み合わせた「耳鳴再訓練...