2018年8月、フランス保健省が専門委員会の提言を受けて、現在、同国内で承認されている抗認知症薬の保険償還を停止、全額自己負担とすると公表した。「アルツハイマー型認知症の治療に関するベネフィットを示すエビデンスと害のバランスを再評価した結果、健康保険の適用を正当化するには不十分と判断した」との見解を示している。これに先立ち、一部の海外企業は抗認知症薬の開発から撤退することを発表している。国立長寿医療研究センター理事長の鳥羽研二氏に、一連の動向への所感を聞いた。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・坂口恵)
「“減塩あるから降圧薬は不要”に近い話」
――フランスでの抗認知症薬の保険償還停止、どう受け止めていますか。
2018年の1月にも米国内科学会誌に運動や抗認知症薬の認知症や認知機能低下に対する効果を検討したシステマチックレビューが発表され、議論を呼びました(Ann Intern Med 2018; 168: 30-38、Ann Intern Med 2018; 168: 39-51)。運動と薬物療法、どちらがより効果があるかというと、いずれもエビデンスの質が不十分なもの...
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