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感音難聴治療の「福音」となるか【平成の医療史30年◆耳鼻咽喉科編】

2019年1月31日  平成の医療史30年

感音難聴治療薬の医師主導治験に期待を込める小川氏  耳科学の中でも、平成の世に特にインパクトを残したテーマの一つに耳鳴治療を挙げた慶應義塾大学耳鼻咽喉科教授の小川郁氏は、同じ30余年の間に多くの耳鳴の原因となる感音難聴の治療については新薬を得ることができなかったと振り返る。ところが、次の時代に福音となり得る治験が進められているという。同氏が期待を込める新薬候補とは。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・森圭吾) 再生医療の技術が突破口に ――治験が進められているという感音難聴の新薬候補について教えてください。  Pendred症候群による遺伝性難聴・めまいに対し、2018年5月から低用量シロリムス療法の医師主導治験がスタートしています。この症候群は進行性で、SLC26A4遺伝子の変異が原因として知られて、患者数が限られるとはいえ、遺伝性の難聴としては日本では2番目に患者さんの多い疾患です。  従来はモデルマウスを作ろうにもSLC26A4遺伝子欠損マウスは重い奇形で重度の難聴になってしまう問題などがあり、進行性難聴を再現することが不可能でした。ところ...