小切開創手術で術後“新しい眼”が得られるように――昭和から平成に変わる頃、白内障治療はどのような状況でしたか。1985年(昭和60年)、東京大学を卒業して眼科の道を選びました。平成を迎えたのは眼科医となって4年目のことです。白内障、緑内障、角膜・網膜疾患などの代表的眼科疾患の治療は、失明を防ぐことに懸命な時代で、「QualityofVision(QOV)」を目指すには程遠いレベルでした。中でも、当時の白内障手術を思い返すと隔世の感を禁じ得ません。まず、眼の脇の皮膚に注射する麻酔が痛いと患者には不...