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劇的に進化を遂げた白内障手術【平成の医療史30年◆眼科疾患編】

2019年2月5日  平成の医療史30年

小切開創手術で術後“新しい眼”が得られるように ――昭和から平成に変わる頃、白内障治療はどのような状況でしたか。  1985年(昭和60年)、東京大学を卒業して眼科の道を選びました。平成を迎えたのは眼科医となって4年目のことです。白内障、緑内障、角膜・網膜疾患などの代表的眼科疾患の治療は、失明を防ぐことに懸命な時代で、「Quality of Vision(QOV)」を目指すには程遠いレベルでした。  中でも、当時の白内障手術を思い返すと隔世の感を禁じ得ません。まず、眼の脇の皮膚に注射する麻酔が痛いと患者には不評でした。手術自体も超音波水晶体乳化吸引術(PEA)がまだ普及しておらず、11-12mm幅の切開を要しました。手術所要時間は1時間ほど、術後の安静は必須で、入院期間は約1週間、さらに大切開の手術では術後の眼のゆがみや乱視も不可避でした。術後に必須となる眼鏡作りも、視力が落ち着くのに時間を要したため、「眼鏡は最低3カ月待ってから」が術後患者に向けての決まり文句となっていました。当然、白内障手術直後の患者が術後数時間で歩いて帰宅する姿など考えもしませんでした。...