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「肝庇護」から「ウイルス排除」へ【平成の医療史30年◆C型肝炎編】

2019年2月12日  平成の医療史30年

泉並木氏  平成の30年間で目覚ましい発展を遂げたC型肝炎治療。治療方針も「肝庇護」から「ウイルス排除」へと変化した。C型肝炎ウイルス(HCV)が発見される以前から肝炎の診療に当たり、臨床研究を通してC型肝炎に挑戦し続けてきた武蔵野赤十字病院院長の泉並木氏に、その変遷を振り返ってもらった。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・河野祐子/2018年11月29日取材、全2回連載) HCV発見以前は「肝機能の悪い方は安静に」 ――平成元年である1989年は、ちょうどHCVが発見された年です。  はい、私が当院に着任して3年ほどたった頃でした。着任当時、C型肝炎は「非A非B型肝炎」と呼ばれており、AST、ALT高値で肝機能の悪い患者さんは入院で治療していました。グリチルリチン製剤を注射して、ウルソデオキシコール酸か小柴胡湯を投与。肝機能が良くなって注射を減らすと再び悪化する、というような状態でした。原因も分からないので対症療法しかなく、肝臓の悪い人には安静に、と言うしかなかったですね。  肝臓病に関して言えば、特に肝硬変や肝癌の患者さんが多かった。肝硬変の...