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ゲノム情報が臨床に結び付いた30年【平成の医療史30年◆ゲノムサイエンス編】

2019年2月22日  平成の医療史30年

 長年、がんは「不治の病」だった。がんの告知はすなわち死の宣告であり、それ故、1990年代中盤まで、患者にがんの告知を行うことはまれだった。しかし今や、早期に発見できた場合、多くのケースで寛解するところまで漕ぎ着けている。なぜがんは、死をもたらす疾患から治療可能な疾患に変わったのだろうか。その一端を担うのが、ゲノムサイエンスの進歩と、その研究を基にした分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の開発だろう。平成の30年間でゲノム解析技術はどのように進歩し、どのように臨床応用されてきたのか、その変遷を見ていく。(m3.com編集部・宮内諭) 数百万のSNP解析から疾患原因を突き止める  昭和後期の1982年(昭和57年)、ヒト膀胱がん細胞でがん遺伝子「Ras」が同定されたことをきっかけに、多くのがん遺伝子、がん抑制遺伝子が同定され、本格的なゲノム研究が始まった。1990年(平成2年)には米国を中心にヒトゲノム計画が開始され、2001年(平成13年)、ついにドラフト配列が決定された。また、2007年(平成19年)には米イルミナ社から次世代シーケンサー「1G Genome Analyze...