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透析医療に衝撃与えたエリスロポエチン【平成の医療史30年◆腎・泌尿器科編】

2019年3月4日  平成の医療史30年

EPOによる劇的な変化を振り返る秋澤氏  日本の透析医療は平成の間に患者の死亡リスクを半分近くに改善し、世界最高水準に達した。どこでも良質な透析医療が受けられるよう、透析医療体制が拡充されたことが理由の一つに挙げられるが、日本透析医会長の秋澤忠男氏はもう一つ、「画期的な出来事があった」と振り返る。それは、今では当たり前に使用されているエリスロポエチン(EPO)製剤の登場だった。 昭和の終わりから程なくして登場 ――平成に登場して透析医療を席巻したEPO製剤について、あらためて教えてください。  平成の30年間で透析医療に大きな進歩をもたらしたのは、間違いなくEPO製剤の実用化でした。透析患者さんは、腎機能の低下で造血因子であるEPO産生が不足すると貧血(腎性貧血)を来します。私が医師になった時期に近い1971年(昭和46年)の透析患者さんの平均ヘマトクリット(Ht)は、20%程度でした。しかも、輸血をしながらの数字です。成人男性の正常値が40-48%、成人女性では36-42%であることを考えれば、半分しかないという凄まじい貧血だった訳です。  こうした...