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「精神分裂病」から「統合失調症」がもたらした効果【平成の医療史30年◆精神科編】

2019年3月11日  平成の医療史30年

樋口輝彦氏  疾患の呼称変更や、主流となる疾患の交代、うつ病の爆発的増加など、平成を通じて大きく変化した精神科疾患診療。そこに大きく影響しているのが、精神疾患を取り巻くさまざまな社会的変化だ。そうした社会の変遷をつぶさに観察し、精神科診療・政策などへ反映させていった国立精神・神経医療研究センター名誉理事長の樋口輝彦氏(日本うつ病センター理事長)に、平成30年間の変化について聞いた。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・小島領平/2018年11月30日取材、全3回連載) 呼称変更で社会の認識が一変 ――平成での変化と言えばまず、統合失調症や認知症の呼称変更が挙げられます。どんな影響があったのでしょうか。  「精神分裂病」から「統合失調症」に変更されたのは2002年(平成14年)でしたね。東北大学名誉教授の佐藤光源先生が日本精神神経学会の理事長を務めていたときで、世界精神医学会の開催に合わせる形で発表されました。きっかけとなった患者家族会からの要望が1993年(平成5年)ですから、9年間の議論を重ねての決定でした。  呼称の変更は大きな意味があります。例え...