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うつ病は本当に増えたのか【平成の医療史30年◆精神科編】

2019年3月14日  平成の医療史30年

樋口輝彦氏  精神科疾患の代表だった統合失調症だが、患者数は平成を通じて70万人台をさまよっている。一方、急激に患者数を増やしているのがうつ病だ。1993年(平成5年)の13万3000人から、2014年(平成26年)には72万9000人と、統合失調症に迫っている。平成を通じてうつ病はなぜ増加したのか、また、平成になって登場したいわゆる“新型うつ病”の影響は――。国立精神・神経医療研究センター名誉理事長の樋口輝彦氏(日本うつ病センター理事長)に、引き続き話を聞いた。(聞き手・まとめ:m3com編集部・小島領平/2018年11月30日取材、全3回連載) うつ病の生涯有病率は変わらず ――社会問題になるほど増加しているとされるうつ病ですが、本当に増えているのでしょうか。  「受診している患者の数」という意味では、10年前に比べて2倍に増えています。しかし、本当の意味で患者が増えたかというと、そうではありません。  2002-2006年(平成14-18年)に東京大学の川上憲人教授らが実施した面接調査によると、うつ病(大うつ病)の生涯有病率は6.2%でした。20...