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iPS細胞が臨床試験に結び付いた30年【平成の医療史30年◆再生医療編】

2019年4月4日  平成の医療史30年

 失われた臓器や機能を再生する──。それは、医療の究極目標の一つと言えるだろう。無限に近い増殖能力とほぼ全ての組織細胞に分化する能力を併せ持った「ヒトES細胞(胚性幹細胞)」が1998年(平成10年)、“成熟した”細胞の運命を人為的に巻き戻した「ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)」が2007年(平成19年)にそれぞれ樹立されたことによって、「再生医療」は現実のものになりつつある。2018年(平成30年)から2019年(平成31年)にかけては、これまで治療困難だった重症心不全やパーキンソン病、脊髄損傷に対するiPS細胞を用いた臨床試験の計画が続々と承認され、再生医療が臨床現場に結び付いた。平成の30年間で再生医療がどのように進歩したのか、その変遷を見ていく。さらに次回からは、大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科教授の澤芳樹氏による再生医療の展望も紹介する。(m3.com編集部・宮内諭) 重症心不全、パーキンソン病、脊髄損傷…iPS臨床研究が続々開始  1981年(昭和56年)、英ケンブリッジ大学のマーティン・エバンス氏は、マウスの初期胚から長期増殖能と多分化能を持つ細胞株を樹立...