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肺炎死亡率が増加、急減した理由【平成の医療史30年◆呼吸器編】

2019年4月29日  平成の医療史30年

 平成の30年間で、肺炎死亡率は終戦直後の水準から、2017年(平成29年)に急減した(「肺炎死は一時終戦直後の水準に」参照)。倉敷中央病院呼吸器内科主任部長・石田直氏は、その理由について、時代の意識や統計方法などの影響を指摘する。引き続き石田氏に、呼吸器領域の平成史を振り返ってもらった。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・小島領平/2019年2月20日取材、全2回連載) キーワードは「老衰」と「誤嚥性肺炎」 ――肺炎の10万人当たり死亡率は、2010年に終戦直後と同水準の90台後半まで上昇し、2016年(平成28年)まで続いたものの、2017年(平成29年)の調査では同77.7まで急減しました。  戦後、抗菌薬の登場によって肺炎の死亡率は劇的に改善しましたが、1970年代で底を打ち、上昇している状況にあります。ただ、死亡者の年齢はかつてと現在では大きく異なる点に注目してください。かつては乳幼児と高齢者の二峰性だったのですが、現在は65歳以上がほとんどです。  このことから、死亡率上昇の原因として高齢人口の増加が挙げられます。また一時期、死亡病名に...