「行き詰まり感」打開したda Vinci【平成の医療史30年◆腹腔鏡下手術/da Vinci編】
腹腔鏡下胃切除術に対する社会的信頼を得たのち、藤田医科大学総合消化器外科教授の宇山一朗氏が取り組んだのは、次世代型手術となる手術支援ロボットだった。せっかくの社会的信頼をドブに捨てるリスクを冒しても、次の挑戦に臨んだ理由は何だったのか。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・軸丸靖子/2018年12月17日取材、全3回)
リスク承知で手術支援ロボット導入
――平成の後半には、手術支援ロボット「da Vinci」を用いた腹腔鏡下胃切除術へとかじを切ります。
「da Vinci」は、2000年(平成12年)に慶應義塾大学外科学教室の北島政樹教授(当時)のところにアジアで初めて導入され、九州大学と共同で薬事承認に向けた治験が進められていたロボットです。しかし、結果が思わしくなかったので、薬事承認には進んでいませんでした。
実際、第一世代の「da Vinci」は洗練されていない印象でした。2006年(平成18年)に韓国の延世大学校医療院でライブ手術を見たときも、「ロボットを使うより、自分の腹腔鏡下手術の方が“イケてる”かな」と思いました。そのライブ手術は、以...
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