発症後12時間使える日本発の脳梗塞治療薬TMS-007【時流◆脳梗塞新薬への期待】
(左から)東北大・冨永悌二氏、農工大・蓮見惠司氏、東北大・新妻邦泰氏 新型コロナウイルスばかりが耳目を集めている昨今だが、人類が克服しなくてはいけない疾患はいくつもある。脳卒中はその最たるものの一つで、東京農工大学発の新薬が脚光を浴びている。TMS-007は、脳梗塞の発症から12時間まで使えるとされ、今年5月に発表された第2相試験の解析結果で、副作用を抑えつつ血栓溶解を促進するという好成績が示されている。新薬への期待と手応えはいかほどか――(ジャーナリスト・塚崎朝子)。 重篤な後遺症患者がフルタイムで職場復帰 脳梗塞への対応は、時間経過との闘いである。有力な血栓溶解薬、遺伝子組み換え組織型プラスミノゲンアクチベータ―(rt-PA、アルテプラーゼ、以下t-PA)は、出血リスクを高めるため急性虚血性脳血管障害発症後4.5時間までしか使用できず、適応は発症者の1割以下にとどまる。 「まさか、t-PAが使えない状態という悪条件で、明らかな障害がないレベルにまで回復した患者がプラセボ群の倍以上とは……」。東北大学神経外科先端治療開発学分野教授の新妻邦泰氏は、率直な驚きを語る。同薬...
m3.comは、医療従事者のみ利用可能な医療専門サイトです。会員登録は無料です。