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ピロリ血清抗体法での診断に注意喚起が出された訳【時流◆ピロリ抗体検査】

2021年7月1日  時流

日本ヘリコバクター学会は、2021年5月に血清抗体法を用いたヘリコバクター・ピロリ(HP)の感染診断に対する注意喚起を行った(『ピロリ菌抗体検査・診断で学会注意喚起』を参照)。同学会では、4年前からこのHP感染症への抗体検査に関連して警鐘を鳴らしてきており、今回で3回目を数える。なぜ、繰り返し注意喚起をする必要があるのか。同学会理事長の加藤元嗣氏(国立病院機構函館病院院長)は「本来は除菌が必要のない症例にまで、除菌療法を試みようというケースが増えている」と指摘し、学会が注意を呼びかけるに至った背景を解説した。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・森圭吾/2021年5月28日取材) 抗体価が「陽性」でも感染しているとは限らない ――今年5月の注意喚起で「血清抗体価は現在のピロリ菌感染状態を反映するものではない」とありましたが、その意味を教えてください。  HPの血清抗体法は、健康保険が使える検査方法の中でも、プロトンポンプ阻害薬(PPI)などを服用中であっても影響を受けずに抗体価を測定できる利点があります。ただし、測定された抗体価をもって「現在も感染している」とは決して言えません。...