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主訴「咳止めがほしい」から呼吸不全へ

2021年7月3日  三輪書店

寺沢秀一 (著)『研修医当直御法度 百例帖第2版』(三輪書店)より転載 Case 69歳、男性 既 往 3年前に不安定狭心症でCABG(冠動脈バイパス術)を受けている。 病 歴 数日前から夜中に咳込んで眠れないので、「咳止めがほしい」と週末の日中に救急室を受診した。くしゃみ、鼻水、鼻閉、咽頭痛、発熱なし。 所 見 意識清明、血圧180/100、脈拍96/分、呼吸20/分、SpO2 95、体温36.8℃、聴診で呼吸音正常、心音は整、心雑音なし。 検 査 なし。 経 過 上気道炎後の気管支炎として、鎮咳去痰薬を処方して帰宅させるも、翌日の夜も「咳がよくならない」という主訴で再度受診。コデインリン酸を処方して帰宅させた。2日後に呼吸困難で救急車で搬送された。搬送直後の胸部X線写真を図に示す。 胸部X線写真 何が考えられるのでしょう? 初診の時点での対応で足らなかったことは何でしょう? 主訴「咳」で左心不全が受診する! 1 咳だけで上気道炎の診断はありえない 上気道炎はくしゃみ、鼻水、鼻閉、咽頭痛、発熱があって、咳もあるのである。この症例のように最初から咳だけという場合は、上気道炎の診断は禁物...